【リトリート体験記⑥】地球にお灸をすえ、風を感じる。大自然と私が調和した「SAISEI」の1日

バリの土地と暮らしに寄り添う「SAISEI」の試み

リトリート3日目。この日はホテルから1時間半ほど離れた場所へ移動し、「SAISEI」の体験に向かいました。
「SAISEI」とは、日本で広がっている環境再生の手法・思想「大地の再生」などをベースに、バリの土地や文化に寄り添う形で人間と自然の生態系を再生していく取り組みです。

主宰されているあきこさんのご自宅を訪ねると、そこには循環のある暮らしの風景が広がっていました。
実際の建物、豊かな果樹園、生ゴミを資源に変えるコンポスト、コンポスト・トイレなど、自然と共生する仕組みを学んだ後、私たちも実際に身体を動かして実践ワークを行いました。

根こそぎ刈らない。「風の通り道」を作る草刈り

まず挑戦したのは「草刈り」です。
ですが、私がこれまで知っていた「根元から根こそぎ刈り取る草刈り」とは全く違っていました。
あきこさんに教えていただいたのは、「草を高めに刈り、風の通り道を作ってあげる」というやり方でした。

植物も生き物だからこそ、根元からバッサリ刈ってしまうと「生きよう!」とする反発の力が強くなってしまう。だから少しだけストレスを与える程度に優しく刈るのだそうです。

「どこを刈れば、心地よい風が通り抜けるだろう?」

肌で風を感じながら、無心になって草を刈っていく時間。
気づけば夢中になりすぎて、私ひとりだけ最後まで黙々と草を刈り続けており、周りの皆さんから優しく温かい笑いがこぼれていました。

地球へのお灸と、大自然の中での「贅沢なお昼寝」

続いてのワークは、斜面になっている場所で行いました。
水が染み込みやすそうな場所に小さな穴を掘り、そこで火を焚くというもの。これは例えるなら「地球にお灸をすえる」ようなワークです。
熱エネルギーを与えてあげることで、目に見えない地中のエネルギーの流れに変化を起こしていく。
一見小さな変化に見えても、大地には確実に届いているのだと知りました。

土地の大家さんが作ってくださった心のこもった家庭料理に舌鼓を打った後、振り返りのためにノートとペンを持って集まると、あきこさんから思いがけないご提案がありました。

「みなさん、ここでお昼寝をしましょう」

普段、家事や仕事に追われてお昼寝なんてめったにしない私。最初は「なんだか落ち着かないな……」とそわそわしていました。
けれど、大自然の中で静かに横になり、目を閉じてみると――。

肌を撫でる心地よい風の感触、おひさまの温もり、青々とした草木の香り。それらが全身を包み込み、身体中の強張りが一気に抜け、深い脱力感と心地よさに満たされていったのです。

「枯れている場所は、再生しようと頑張っている場所」

お昼寝の後、バルコニーから見渡す一面の森。あきこさんから「どう見えますか?」と問いかけられました。
私を含め、多くの人が「大自然が心地いいですね」と目に映る青々とした美しさに答えていたのですが、あきこさんの視点は違っていました。

「枯れている場所がありますよね。そこは、エネルギーの滞りがあるところ。でもね、そこはすごく頑張っている場所でもあるんです。一生懸命、再生しようとしている。だからこそ、ちょっとだけエネルギーの流れを変えてあげる手助けが必要なんです」

その言葉を聞いた瞬間、私の心にスーッと暖かいものが広がりました。

「自然は人と一緒なんだ。いや、人は自然の一部なんだ」
枯れている部分を否定するのではなく「頑張って再生しようとしているんだね」と受け入れる優しさ。

風を通し、熱を与え、自然を慈しむ行為を通して、私自身の心の中にあった「滞り」や「強張り」も、静かに解きほぐされていくのを感じていました。

2回目のブレスワーク。初日とは全く違う身体の反応

ホテルへ戻り、夕食をいただいた後は、リトリートが始まって2回目のブレスワークへ。

体をいっぱい動かし、バリの自然とひとつになったような充足感の中で横になると、初日の夜のような「申し訳なさ」や「自分を責める焦り」はもうどこにもありませんでした。
心地よい呼吸の波に乗るうちに、いつの間にか優しく眠りの世界へといざなわれていた私。

「今、ここ」の心地よさを素直に受け取れるようになった自分に気づきながら、静かで深い夜が更けていきました。

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