【リトリート体験記⑤】聖なる泉で涙した理由。「リセット」ではなく「リスタート」と気づいた日

聖なる泉「ティルタ・ウンプル寺院」へ
バリ島2日目の朝。向かったのは、西暦962年頃に創建された歴史ある寺院「ティルタ・ウンプル」です。
「ティルタ・ウンプル」とは、現地で「地から湧き出る聖なる泉」を意味します。
寺院の中に湧き出る聖なる水で身体を洗い流す「ムルカット(沐浴)」を行うことで、負のエネルギーや日々の汚れ、自分の中の執着やこだわりを清め、心身と魂を整える伝統的な神事です。
沐浴場には、十数か所の湧水口がずらりと並んでおり、左から順に頭を垂れて聖水を受けていきます。
それぞれの湧水口には「災いを流す」「病を癒す」「新しい始まりを迎える」など、異なった意味が込められているそうです。

心に突き刺さった、2つの湧水口での祈り
湧水口を一つずつ巡る中で、特に私の胸を強く打った場所がありました。
それは、「自分が放ってしまった悪い言葉の浄化」と「自分が受け取ってしまった悪い言葉の浄化」の湧水口でした。
昨晩のブレスワークで浮き彫りになった、私自身の「自分を責めてしまう思考の癖」。
自分に向けて「私なんて」「ダメなお母さんだ」と投げかけていたナイフのような言葉や、日々の生活で知らず知らずのうちに放ち、受け取っていたトゲのある言葉たちが思い出されました。
冷たい聖水を頭から浴びながら、私は心の中で強く、深く祈りました。
「どうか、私の思考の癖が洗い流されますように」
「自分自身に向けても、そして大切な相手に向けても、もう二度と悪い言葉をぶつけることがありませんように」
頭から冷たい水を受け止めるたび、身体の奥底からすーっと澄み渡っていくような感覚が広がっていきました。

リセットではなく「リスタート(再始動)」
すべての湧水口を巡り終えたとき、私を包み込んでいたのは圧倒的な解放感と爽快感でした。
同時に、背筋がすっと伸びるような神聖な気持ちと、自然や周囲への素直な感謝(慈悲)の気持ちが、内側から溢れ出てきたのです。
その時、ハッと気づいたことがありました。
今回のリトリートは、今まで積み重ねてきた自分や家族との歴史をゼロにする「リセット(初期化)」ではない。
至らない自分も含めてすべてを受け入れ、新しくここから歩み出していく「リスタート(再始動)」なんだと。
自分を責める必要なんて最初からなかったのだと、聖なる水が教えてくれた気がしました。
巡り巡る、心とお腹の満たされ時間

心と身体がすっきりと清められた後は、リトリートを主宰してくださった私の師・かよ先生おすすめのレストラン「Moksa(モクサ)」へ。
自然のエネルギーがたっぷり詰まったヘルシーでボリューミーなランチをいただき、心もお腹も存分に満たされた素晴らしい時間を過ごしました。